夏、到来。

いよいよ梅雨も明け、本格的な夏がやってきました。これから気温30度越えの日が続きます。
猛暑になると心配なのが熱中症です。普段はうっとうしい汗ですが、懸命に体温を調節してくれているのだと思えば汗をかくことも大切なことなのです。高齢になると汗が出にくくなり、体内に熱がこもりやすくなると聞きます。節電も大切ですが高齢者の方々は適度にエアコンは利用すべきでしょう。しかし、ここしばらく「節電」というワードにお目にかかりません。あれほどテレビで「節電」が叫ばれ、計画停電まで実施されようとしたのに、どうしたのでしょうか。
日中汗をかくと、帰りに冷たいビールでも、と思ってしまうものですが、暑さも連日続くと、冷たいビールよりも、早く帰って風呂に入りたいと思うようになります。熱いお湯につかると皮膚の汗腺が開き体内の熱を逃がします。また皮膚に付着した塩分や皮脂を洗い流して放熱を助けます。風呂上りは汗が滝のように落ちますが、夕暮れの涼しい外気に触れれば気持ちのいい涼が得られます。
夏の涼の定番、ビアガーデンはすでに営業を開始しています。でも、最近は家の風呂に勝る涼はないと思ってしまい、二の足を踏んでしまう今日この頃です。


6月18日「海外移住の日」

4年に1度、サッカーワールドカップが今年はブラジルで開催されています。ブラジルはワールドカップの優勝回数が5回と世界最多です。サッカーにうとい自分でもブラジルのスポーツと言えば真っ先にサッカーを思い浮かべます。
ワールドカップについてはこれからテレビでじっくり観戦するとして、ブラジルは日系移民の数でも最多、約120万人以上が暮らしています。先の6月18日は「海外移住の日」で、明治41年6月18日に、移民船「笠戸丸」が約800名の日本人移住者を乗せて初めてブラジルのサントス港に入港したことを記念して制定されました。
意外なことに、日本は第二次世界大戦後にいたるまで労働力が過剰で、移民を送り出す国だったそうです。日本の海外移住者たちは主に大規模農場で過酷な労働に従事しました。しかし、それからおよそ80年後、日本は深刻な労働者不足に陥ろうとしています。かつて移民を送り出していた国が、今度は移民の受け入れを真剣に検討しなければならないとは、まさに隔世の感ありということでしょうか。


介護人材確保のためにすべきことは?

人口減少、オリンピック建設需要などにより、介護分野では2025年までに最大250万人の介護人材が必要と推計され「100万人不足」という危機感が業界に重く垂れこめている。(日経ヘルスケア20145月号より「霞が関リレーコラム厚労官僚の独白」より)
介護業界の人手不足は今に始まったことではありません。高い離職率、過酷な労働環境、賃金水準の低さが知れ渡り、若い人を中心に介護離れが進んでいます。また景気の回復局面に入れば、敢えて介護職を選ぶ人はますます減少することでしょう。
上記の記事は厚労省の官僚が書いたものです。この官僚氏は、「介護者自らが誇りを持ち、研さんに励むプロ集団として社会の尊敬を勝ちうる仕事(専門職)」となれば介護を志す人が増えて自ずと人手不足は解消される、と確かにその通りなんですが、そのためには、「雇用主自らが介護職を専門職に育て上げる役割を担うことが肝要」と言っています。これにはいささか失望しました。
介護事業には定員があります。だからどんなに人や設備に投資して付加価値を充実させても定員一杯になれば売上はそれ以上増えません。だから経営者として利益を最大化させるためには人件費や経費を徹底的に削減する以外にないのです。特に人件費は真っ先に削減されます。介護の現場で働いている人は必ずしも専門教育を受け、経験を積んだ人たちばかりではありません。人件費削減のために資格や経験のないパートタイマーの職員を活用して人件費削減を行っている事業所がほとんどです。そんな状況で職員を専門職に育て上げるなどどだい無理な話。そんなお金も余裕もないのです。厚労省の官僚はこのことを認識しているのでしょうか。
日本の社会保障は屋台骨から直さないと非常に危うい状況にあると叫ばれ、社会保障と税の一体改革が進められています。医療、介護の分野で大きな動きが予想されますが、こういう時に迷走しないようにしっかりと現実把握をしたうえで改革に望んでほしいと思います。


福岡市での開院手続き

5月1日に開院予定の福岡新生会ハートクリニック様の開院手続きで、管轄する早良区保健所と九州厚生局をまわりました。福岡市は大分市と違って医師会による申請手続きの受付業務が行われておりません。つまり、大分市の場合は、管轄の違う、つまりは提出先の違う様々な申請用紙をまとめて医師会が受け付けてくれるのですが、福岡市の場合は、おのおの所管する役所の窓口に個別に申請をしなければなりません。
大分市にしろ福岡市にしろ、それぞれ個別に事情があるのでしょう。大分市のやり方は大変ありがたいと思いますが、ともすれば申請の中身についてあまりよく知らなくても手続きだけはできてしまいます。その点、福岡市の場合は手間はかかりますが、申請の中身にまで深く入り込み、理解する機会が得られます。
厚生局や保健所や区の福祉局や、いちいち違う役所を巡りながら、面倒くさいなあ、と思っていました。しかし、それぞれの窓口で、申請書の内容の確認をしながら、制度の細かい部分や仕組みに触れることができました。
手間も時間もかかりましたが、まあ不幸中の幸い、捨てる神あれば拾う神ありです。


在宅医療に異変?

在宅医療に異変が生じています。在宅医療を行うクリニックの経営の柱となる「在宅時医学総合管理料」が、同一建物に居住する患者の診療に対して大幅なカットが答申されました。その原因は、有料老人ホームやサ高住に居住する患者に対して本人の明確な同意が無いままに訪問診療を受診させ、見返りとして紹介料を受け取るといった悪しきケースが続発していたからです。
確かに今回の答申によりこのような悪しきケースは無くなるでしょう。しかし、先述の通り、この「在宅時医学総合管理料」は在宅診療の経営の柱であり、安定的に継続できる在宅診療を支えているのです。これの大幅カットは、真面目に在宅医療に取り組んでいたクリニックまでもが在宅医療からの撤退を余儀なくされることにはならないでしょうか。
健全な在宅医療の普及のために、一部で続発する悪しき状況を是正するのは必要なことです。しかし、今後、病床の機能分化が進めば、急性期、亜急性期、回復期に病床が重点的に配分され、慢性疾患を抱える高齢者は在宅医療へと政策的な誘導が始まります。そんな時に、在宅医療の普及を妨げる可能性のある答申は果たして妥当なのか。
今回は少々辛口すぎるでしょうか。