受動喫煙防止

2020年の東京オリンピックに向けて、我が国でも本格的な受動喫煙防止対策の審議が始まっています。しかし、報道を見る限り、「不協和音」ばかりが聞こえてくるような気がします。
煙草の煙がもたらす深刻な健康被害を考えると、意に反して煙草の煙にさらされるのは不条理極まりないことです。受動喫煙の防止のための一定の規制は理にかなっていると思います。
実はかつて自分も喫煙していました。その頃、交通機関や駅などの公共の場所で次々と全面禁煙となっていました。喫煙する場合は決められた喫煙場所か自宅に限られるようになりました。しかし、それを特段不便とは思いませんでした。煙草の煙で他人に迷惑をかけないことは基本的なマナーだと思っていました。
今回の受動喫煙防止対策は、人の多く集まる飲食店等も禁煙の対象とする、言わば一歩踏み込んだ内容になっています。煙草を吸える場所が奪われていくと感じるのではなく、決められた場所で喫煙をする、基本的なマナーへの回帰であると思うことが喫煙者の矜持であると思います。


日本の再生医療

脳梗塞等で損なわれた脳細胞は決して再生しないというのが今までの常識でした。しかし日本の再生医療ベンチャーの開発する細胞再生薬を用いれば、この常識は覆され、脳細胞が再生する効果が期待できると言われています。この薬は昨年から治験が始まっていますが、実用化されれば脳梗塞だけでなく認知症にも効果が期待できると言われています。
まさに夢の薬ですが、これも日本の再生医療技術のおかげです。京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞し、一躍脚光を浴びた再生医療は着実に開発が進んでおり、今では日本が再生医療の最先端をゆくと言われています。
これを強力に後押ししているのが改正薬事法です。従来、日本ではせっかく先進的な技術が開発されても承認を得るまでに十年近くも時間がかかり、そのために実用化という観点からは欧米に大きく水をあけられていました。それが2015年に薬事法が改正され、そのために早ければ2年という短期間で承認が得られるようになったのです。
そのため、今では日本だけでなく世界中の医療ベンチャーが日本での実用化を目指して続々と集まってきています。
片麻痺の方や認知症の高齢者をはじめとした疾患に苦しんでいる人たち、そしてその人たちを支えている周囲の人たちにとって福音となり得る日が近くまで来ています。


山わらう

先日、テレビのクイズ番組で、「花が咲く」の「咲く」という漢字は、もともとは「笑う」という意味だと言っていました。口を開けて笑う姿が花などが「咲く」情景に通じることから、今では「花が咲く」という表現の方が一般的になったそうです。
先週末、近所の公園では花見が行われていましたが、急な冷え込みや雨のせいでしょうか、あいにくと満開ではありませんでした。
遠くに見える山ではそろそろ山桜が咲き始め、緑の山肌にきれいな桜色が鮮やかに見えます。春独特の風景です。
そう言えば、俳句などでは、春に山々の木の芽が芽吹き、花が咲き始めることを、「山わらう」と表現するそうです。今では「山笑う」と表記するのでしょうが、「山咲う(やまわらう)」と表記できるのかもしれません。


スタートの季節

3月に入り、気候もだんだんと穏やかになってきました。これから本格的な春を迎えるまでは三寒四温と言って寒さ温かさを繰り返しながら、あたかも季節が足踏みをしているかのようにゆっくり進んでいきます。日中汗ばむほどの陽気になるかと思えば、3月に入ってまとまった雪が降ることも稀にあります。
ところで、春は卒業と新入学の季節であり、新しい生活のスタートの季節でもあります。身の回りでは木々がが芽吹き、美しい花が一斉に咲き始め、動物たちが活動を開始します。このように、自然の営みと協調して人の営みがありますが、これは恐らく、自然と一体になって暮らしてきた日本人の文化の特徴であり、また日本人独特の自然観なのだろうと思います。
しかし、最近では卒業や新入学を欧米のように9月にしようと言う動きがあります。確かにそのほうが効率的だし、実情にぴったりと即している部分もあります。とはいうものの、日本全国津々浦々、あらゆること全てにおいて9月スタートが良いとは限りません。とかく今の日本では、何が一つの流れが生まれると、遅れては大変だと盲目的にその流れにつかまって、あらゆることが右へ倣えになってしまうような気がします。
良いものは良い、でも残すべきものはちゃんと残して伝えていくことも必要だと思います。


恵方巻きの季節です

毎年この時期になるとコンビニのCMで「恵方巻き」がたびたび登場します。その年の「恵方」つまり縁起の良い方角を向いて、恵方巻きを食べるという風習です。もともとは大阪あたりの習慣だったそうですが、そもそもの「恵方巻き」という名前は大手コンビニが付けたそうです。そして、恵方を向いて恵方巻きを食べると言う習慣もコンビニによって全国に広められたそうです。チョコレート業界がバレンタインデーを恒例行事にしたのと同じことですね。
このように、当たり前に行われている行事も、元をただせば誰かが仕掛けたことが発端だったということが意外と多いかもしれません。例えば、土用の丑の日にウナギを食べると言う習慣は江戸時代、平賀源内によって広められたと言われています。
こうした楽しいこと、イベント事に日本人は昔から敏感に反応したのでしょう。初詣やクリスマス等といった宗教の枠を超えた年中行事が多いのもそのせいかもしれません。そうすると、将来新たな行事になるのはさしずめハロウィンでしょうか。