トランプ次期大統領就任式間近

1月20日にドナルド・トランプ氏がアメリカ合衆国大統領として就任式をむかえます。
トランプ次期大統領は就任次第、TPPから脱退すると表明しています。とかく農林水産部門ばかりがクローズアップされがちなTPPですが、実は医療の分野も含まれています。この医療分野で自由な貿易活動が阻害されている要因として日本の「国民皆保険制度」が取りざたされてきました。
TPP実現の折にはこの日本の誇る「国民皆保険制度」が崩壊すると一部報道では報じられました。その現実性は別にして、仮にアメリカのTPP脱退により、TPPそのものがとん挫したとして、それで国民皆保険制度がとりあえずは守られるかと言うと、そうではないようです。
トランプ次期大統領はTPPを脱退し、2国間の貿易競技を行うと宣言しています。TPP交渉以上に日本の医療制度の根幹を揺るがす要求を突き付けられる可能性もあります。実際、アメリカの通商代表部は日本の貿易の障壁のある部門として農業などの分野に加えて医療分野を常に上げています。トランプ次期大統領はこれを打破するタフエゴシエーターと期待されて選挙に当選しました。恐らく一筋縄ではいかないでしょう。追随するのではなく対等な立場で日本の主張を通してほしいものです。


本年もよろしくお願い申し上げます。
 
新年あけましておめでとうございます。
今年のお正月はとても穏やかで暖かく良いお天気でした。
皆様は、いかがお過ごしされましたでしょうか。
振りかえれば、昨年のお正月明けは中国景気の悪化から、株価暴落で始まりました。
今年はその真逆で、トランプ氏の大統領選挙勝利の11月から円安と株価上昇が始まり、お正月明けの大発会でも、株価は1年1ヵ月ぶりの高値ををつけました。
昨年はトランプ大統領当選の衝撃の他にも世界では、イギリスのEU離脱、ドゥテェルテ大統領就任、朴槿恵大統領弾劾と驚きの連鎖が続きました。
1月20日はいよいよアメリカの大統領就任式です。
今年の世界は、そして日本はどうなるのか期待と不安が交錯します。
いずれにしましても、今年が皆様にとりまして、よい一年になることをお祈りいたします。

年末所感2016

2016年も残りわずかになりました。
これから年末にかけて少し寒い日があるようですが、正月は穏やかで暖かい日になると予想されています。
毎年のことですが、こうして穏やかな年越しができることは本当にうれしいことだと、年を取るにしたがって思うようになりました。
来年もまた良い年でありますように。皆様のご多幸を心よりお祈りいたします。


意外に知らない自分の身体のこと

現在、高血圧の治療を受けています。
定期的に診察を受けて薬を処方してもらっています。その他にも塩分に注意したり運動を心がけたりしていますが、もう一つ、朝と夜に毎日血圧を測るようになりました。
計測を初めて早や2か月が経過しましたが、この間に血圧は驚くほどの上下動を繰り返しています。かなり高めな数値が出たかと思ったら、正常値の時もあります。軽い飲酒や軽い運動をした日は下がり、逆に深酒をしたり激しい運動をした日は上がります。意外にも飲酒も運動もしない日は上がるようです。また夜よりも朝が高い傾向にあります。その他にもいろいろな要因で血圧が上下するのが分かります。
毎日血圧を測定して初めて分かったこと、人間の身体とは本当にデリケートで、様々な状況の変化にともなって血圧をはじめとした身体のメカニズムは刻々と変化していること。
また、意外と自分で自分の身体を知らないのだとも思いました。自分の身体が毎日、こんなにもめまぐるしく変化していることを目の当たりにして驚いています。
自分の知らない間に自分の身体は頑張っているのです。


日本の医師不足(2)

先月のブログで、日本の人口千人あたりの医師数は2.3人で、OECD加盟国の平均にも達しておらず、深刻な医師不足の状態にあると書きました。
このことを友人に話したところ、「病院も診療所も、あちこちにたくさんあるのに医師が不足しているのか」と聞かれました。
実は、先月のブログで紹介したOECDの統計によると、日本の病院数、病床数、CT等の先端医療機器の数は先進国の中でも突出して多いのです。このことから、日本では医療施設や医療機器と言ったハード面の充実を重視していたことが分かります。
次に患者の受診回数や入院日数は、日本は他の国に比べたら非常に多く、言うなれば多数の患者を少ない医師で診療していることになります。
ところで、先月のブログで、当初医師数の増加は医療費の増加につながるという理由で政府は医学部定員を低く抑えてきたと書きました。実際に日本の医療費のGDPに対する割合は国民皆保険制度があるにも関わらず低く抑えられていましたが、2000年代に入ってから急激に増加し、今ではほぼOECD平均値に追いついています。主な原因は高齢化によるものと考えられています。
医療費の割合が非常に高いアメリカでは市場主義による医療費の抑制がうまくいっておらず、ドイツやフランスも医療費の割合が高く財政圧迫の要因となっています。逆にイギリスやイタリアは政府が医療費の支出に消極的だったために割合は非常に低いものの、患者が専門医を受診できるまでずっと待たされる「医療待機」という問題を抱えています。
戦後、日本の医療制度は他の国に比べればうまく機能していたのではないでしょうか。しかし、時代は変化しつつあります。せっかく世界に誇れる医療を構築してきたのに、今に至って持続可能な医療制度への移行、高齢化社会に対応した医療と介護の確立は必ずしもうまく軌道に乗っているとは言えない状況です。これまでの不安定な政権から、良くも悪くも、安定した長期政権が期待できる今、将来を見据えた改革が望まれるところです。