今から47年前の1979年にイギリスの作家、J・P・ホーガンの『未来の二つの顔』が発表されました。邦訳は1983年にされており、筆者は大学生時代に読みました。
内容は、合理的思考に徹する人工知能(AI)と非合理的な行動をする人間の相互不信によりAIが人間を邪魔な障害物と認識してしまうという不気味なものです。AIと人間との間に生まれた齟齬がやがて大惨事に発展します。
この小説はAIを悪者にした単なるパニック小説ではなく、当時の人工知能研究の知見をふんだんに用いた、AIに対する人間の深いところにある恐怖や不信感に対する一つの解答を見出したと高い評価を受けています。 現在、AI開発をリードする企業のトップが開発速度を落として安全対策を構築するべきだと主張しています。彼らはこの『未来の二つの顔』を読んだことがあるのでしょうか。小説では勇気ある賢明な人たちの活躍でAIと人間が共存し、文明が飛躍的に発展する未来を予見させますが、それは決して約束された未来ではないことを忘れてはならないのだと筆者は感じました。 <<戻る>>