在宅医療に異変が生じています。在宅医療を行うクリニックの経営の柱となる「在宅時医学総合管理料」が、同一建物に居住する患者の診療に対して大幅なカットが答申されました。その原因は、有料老人ホームやサ高住に居住する患者に対して本人の明確な同意が無いままに訪問診療を受診させ、見返りとして紹介料を受け取るといった悪しきケースが続発していたからです。
確かに今回の答申によりこのような悪しきケースは無くなるでしょう。しかし、先述の通り、この「在宅時医学総合管理料」は在宅診療の経営の柱であり、安定的に継続できる在宅診療を支えているのです。これの大幅カットは、真面目に在宅医療に取り組んでいたクリニックまでもが在宅医療からの撤退を余儀なくされることにはならないでしょうか。
健全な在宅医療の普及のために、一部で続発する悪しき状況を是正するのは必要なことです。しかし、今後、病床の機能分化が進めば、急性期、亜急性期、回復期に病床が重点的に配分され、慢性疾患を抱える高齢者は在宅医療へと政策的な誘導が始まります。そんな時に、在宅医療の普及を妨げる可能性のある答申は果たして妥当なのか。
今回は少々辛口すぎるでしょうか。