厚生労働省の医療法改正法案はいよいよ来年の通常国会に提出する方針が打ち出されました。改正の内容については既に報道などで明らかになっていますが、その中で、在宅医療の推進、介護との連携を含む地域包括ケアの構築も主要な検討テーマとなっています。(『日経ヘルスケア』2013年9月)
日本人の平均寿命は世界でもトップレベルです。これは世界でも類を見ないほど、高水準の医療が広く普及していることの証ですが、一方では将来における病床ニーズの増加の原因にもなります。だからといってこれから病床を増やすことは非現実的です。
そこで住み慣れた地域、住み慣れた自宅での療養ができる社会の実現を目的に在宅医療の推進、介護との連携などが重要視されるわけです。
しかし、一方で介護従事者の離職率は高率で慢性的な人手不足が続いています。特に、訪問介護事業では全体の約70パーセントの事業所が人手が不足していると感じています。在宅の現場を担う職員は非常に厳しい環境におかれているのです。(『日経ヘルスケア』2013年9月)
住み慣れた地域や家庭で安心して暮らせるように、という謳い文句は介護保険制度導入の頃から言われてきましたが、現実は思うようには改善されていません。今回の医療法改正では、予算での対応はもとより、制度面での対応も視野に入れた改正となっています。すでに24年度の診療報酬・介護報酬の改定では在宅医療と介護が重点的に評価されるようになりました。この改正で人々が安心して自宅で療養できるように、そして医療や介護の現場を支える人たちのサポートができるようになればいいと強く思います。
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