この文章がアップロードされる頃、ノーベル賞の受賞者が発表されていると思います。日本人で有力視されている方々は今年も複数いらっしゃいますが、中でも免疫学の本庶祐(ほんじょたすく)博士が最有力ではないでしょうか。(産経ニュース 9月29日)
本庶博士はがん免疫治療薬「オプジーボ」のもとになるタンパク質を発見しました。これまでの抗がん剤ががん細胞を直接殺してしまうのに対して、オプジーボはがん細胞に対する免疫を活性化させてがん細胞を死滅させるものです。これにより、従来は手術、抗がん剤、放射線という三つのがん治療に加え、新たに免疫治療という新しい治療を臨床に普及させつつあります。
ところで、このオプジーボは当初非常に高価な薬剤でした。2014年に保険適用されたときは100ミリグラム約73万円でした。それが現在では約28万円で当初から6割も安くなっています。
これは製薬会社にとっては痛い話ですが、がんの患者さんにとっては光明です。とはいうものの、オプジーボは当初一部の皮膚がんに適用され、国内の対象患者はおよそ500人くらいだと言われていました。しかし、その後に肺がんなどへ適用が拡大され推定される患者は年に5万人と言われています。適用患者が500人から5万人に増えたわけですから6割の値下げも妥当であると言われています。
実際問題として、100ミリグラム73万円の薬を5万人の患者さんが使ったとして、その費用は莫大なものになります。患者さんは保険適用なので一部負担ですが、国が支払う薬価を考えると、やはり値下げは妥当なのだと思えます。 <<戻る>>