1979年6月より約2年間、日本の主だった全国紙に『先駆者の勇気に応えたい』というタイトルの企業広告が毎月2回掲載されました。広告主は、大手医療機器製造販売の株式会社テルモ。当時は体温計のメーカーとして知られていました。
広告の内容は、古代ギリシャ時代から現代にいたるまで、医学の歴史の中の驚くようなエピソードと、果敢な挑戦を行い医学の発展に貢献した人々の勇気を紹介するもので、シリーズ全体を通して立派な医学史を構成していました。当時中学生だった自分は、この広告が大好きで、毎回切り抜いてノートに貼っていました。
後に高校に進学し、同級生の中に、同じようにこの広告を切り抜いて大切にしている人がいました。「これを読んで医者になろうと思った」と言っていましたが、言葉通り彼は医学部に進みました。
今、医院開業コンサルタントという仕事を通じ、多くの優秀な医師の方々とお会いしています。その際に思い出されるのがこの同級生のことです。胸中に抱く夢や憧れ、そして高い志は少年時代の特権だったと、中年になった自分は懐かしく思い出します。

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