気象庁は会見で、ここ最近の酷暑を「災害級」と評しました。ニュースや天気予報ではいつも熱中症対策を呼びかけています。実際に、熱中症で搬送される人が後を絶たないようです。
この熱中症対策に適した飲み物として「甘酒」が注目されています。今でこそ甘酒は冬の飲み物となっていますが、元来は夏の飲み物でした。俳句の季語としても、甘酒は夏の季語だと『歳時記』に記されています。夏場は気温が高くて酒が造れません。多くの酒蔵は酒が造れない夏場に甘酒を作っていました。
甘酒は「飲む点滴」とも呼ばれる完全栄養飲料です。甘酒の熱中症に対する効能はネットで多く紹介されているので割愛しますが、江戸時代には、夏場に甘酒売りが市中を回っていたそうです。また江戸時代にも熱中症はあったそうで、当時は「中暑」と呼ばれていたそうです。まさに「暑さ」に「中る(あたる)」わけです。
ところで、江戸時代、1789年に編纂された『広恵済急方』という当時の救急マニュアルには、「中暑(熱中症の事)には、急いで日陰に寝かせ、日向の熱い土を臍の上に積む」と書かれてあるそうです。医学的な考証はさておき、現代からすると風変わりな処置です。実際にこうした処置が行われていたのかどうかは分かりませんが、興味のあるところです。
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