去る4月29日は昭和の日でした。それに因んだわけでは無いのですが藤田尚徳著『侍従長の回想』(講談社学術文庫)を読んでいました。侍従長とは天皇のおそばに仕える役職で当時は伝統的に海軍大将が勤めていました。(陸軍大将は侍従武官長という役職を勤めました)藤田侍従長は太平洋戦争終戦の際に昭和天皇の侍従長だった方で、その当時の緊迫した状況を克明に語っておられます。
これを読んで、ウクライナ戦争開戦直後に、ヒトラー、ムッソリーニそして昭和天皇を並べた写真がウクライナ公式ツイッター(当時)にアップされたことを思い出しました。ロシアの全体主義的な体制を非難する目的だったそうです。これに対して日本国内で批判が高まり最終的に昭和天皇の写真は削除されました。
ウクライナは旧ソ連に属していたために昭和天皇がファシストだったとずっと教育をされてきたのでしょう。しかし昭和天皇はファシストでは無く、ヒトラーやムッソリーニと違い、終戦に尽力し、終戦後は国民に常に寄り添いながら復興を希求し、そして多くの国民から惜しまれながら崩御なさいました。もちろんこのような事実は教えられることなく、ヒトラーもムッソリーニも昭和天皇も同列だと同国の人たちが勘違いをしたのも無理はないのかもしれません。
テレビやネットで海外の状況がすぐ分かるようになりましたが、歴史の裏付けが無ければ何を見たところで所詮は表層的な見方に過ぎないことをなんとなく教えられたような気がします。

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