NHK大河ドラマは平安時代、紫式部を題材にしているそうですね。平安時代で思い浮かべるのが男女の手紙のやり取りです。貴族の男性は意中の女性に宛てた手紙、歌やちょっとした贈り物を添えたものを下人に持たせて届けさせました。届けるだけでなく相手からの返事を持って帰るので、今で言う双方向通信に近いものでした。当時の平安京の通りは、夜になると主人の手紙を携えた下人たちの往来でにぎわったそうです。当時の貴族の若い男女は手紙が来たり来なかったり、返事があったりなかったりで一喜一憂していました。
さて、1997年にドコモがメールサービスを開始し、若い人たちは声による通話だけでなく文字(テキスト)による通信にも熱中しました。以来30年、通信技術の発達は文字だけでなく画像や動画も添付できるようになりました。膨大なサイズの情報が瞬時にポケットに収まるスマートフォンでやりとりできる、そんな高度情報化社会で、若い人たちは今から千年以上前、平安時代の貴族のようにメールやメッセージを待ち焦がれ、既読が付いたの付かないの、返事が無いと一喜一憂しているというのは、ちょっと笑える話ではないでしょうか。
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